投資の話をしていると必ず言われることがあります。
「それって元本保証されていないんでしょ?怖くて投資なんかできない」
確かに、誰でも損なんてしたくないので、元本保証を求めるわけです。
しかし世の中そんなに都合のいい話なんてないもので、元本保証されながら利益を上げることができるものなんてないのです。
インフレの中でタンス預金は有効か?
インフレとはモノの値段が上がっている状態です。
アベノミクスの中でインフレ率2%を目指すと言っていました。それは現在実現されていないのですが、例えば現在が2%のインフレ下にあるとしましょう。
2%の物価上昇の世界では、今年10,000円だったものは、来年10,200円になります。
10,000×1.02=10,200
というわけです。
では逆に、来年の10,000円を今年の価値に割り戻すとどうなるでしょうか?
この手の問題はCFPの試験によく出るのですが、先ほどの逆の計算をすれば求めることが出来ます。
10,000÷1.02=9,804
来年の10,000円は今年の9,804円と同価値であるということです。
2年後の10,000円は現在の価値でいくらになるでしょうか?
10,000÷1.02÷1.02=9,612
今の9,612円が2年後の10,000円と同価値です。
同じように計算すると、10年後の10,000円の価値は、8,203円となります。
これは10,000円のタンス預金は10年後、今の8,203円の価値に落ちているということになります。
つまり、インフレの世界では、インフレ率を超える投資をしないと損をする、元本割れしてしまうということになります。
現在の日本はインフレ率は低いとは言いつつ、それでも銀行の金利よりは高いインフレ率になっています。
インフレ率2%目標の理由
結果、2%のインフレ率には到達していないものの、日銀はなぜ2%という数値目標を出したのでしょう。
インフレということは物価が上がることだし、そんなところまで外国に合わせなくても、と思ってしまいますが、そうもいかないようです。
分かりやすくするために、アメリカは2%、日本は0%のインフレ率と仮定します。
日本で100円で売っているモノが、アメリカでは1ドルで売っていたとします。
これが翌年、日本では100円のままですが、アメリカでは1.02ドルとなります。
相対的に見ると、円の価値がドルの価値に対して下がったということになります。
今年1ドル100円だったのが、来年には1ドル98円(100÷1.02)となったことになります。
このような状態を円高といいます。日本は輸出が主要産業ですから、円高になると苦しいわけです。
極端な円高になると輸出企業は利益に大きなダメージを受けてしまいます。この辺の為替レートの安定が企業業績にも重要になっているのですね。