外貨建て保険の残高が増えているのだそうです。残高が増えるというのは、よく売れているということです。
何でも、外貨建て保険は利回りがいいよ、元本を保証するよ、といった素晴らしい特徴を持った商品なんだそうです。
そんな外貨建て保険に関する苦情が増えているとのことです。
外貨建て保険とは
外貨建て保険とは、保険会社が保険料を米ドルや豪ドルなどの外貨建てで運用して、満期後に返還されるものです。
円に比べて外貨は金利が高いので、債券で安全運用しても円建てよりも高い利回りを期待出来るわけです。
商品により特徴もあり、例えば一部を債券、一部を株で運用して、更なる利益を求めるなんてものもあるようです。
商品の性質に伴いリスクは異なるでしょう。
元本保証はホント?
問題になっている点のひとつは、元本保証に関する説明です。
元本保証について言っているのは、あくまで「外貨建てとして」というところなのです。
例えば、購入時に1,000ドル分購入したとします。満期時には運用実績に関わらず1,000ドルは必ず返還されるというわけです。
そこだけを聞くと確かに元本は保証されています。
ここで購入時、1ドル110円だったとします。購入額は円換算で110,000円になります。
もし満期時に110円より円安で115円になれば115,000円になり5,000円の為替差益となります。しかし円高で105円になれば105,000円となり、5,000円の為替差損が発生します。
この為替変動リスクについて何も説明がないためにトラブルになっているようです。
他にも保険の仕組みが複雑で、どういう商品なのか分からないまま契約してしまい不安を感じているというところもあるようです。
もし為替差益や差損を意識するなら、必ずしも保険である必要はないでしょう。外国債を買うのもいいでしょうし、FXで為替変動リスクを相殺するというのもあるかもしれません。
個人的には、保険はシンプルであるべきだと思うのです。
外貨建て保険を売りたい理由
ところで、なぜそんな外貨建て保険が売れているのでしょう。金融庁が以前に公表したレポートによると、外貨建て保険は手数料が高く、売る側からすると儲かる商品なんだそうです。儲かるので積極的に売っているというわけです。
以前から、保険業界では契約者にいい保険商品ではなく、売り手にいい保険商品を売っているなんて話を聞きます。
売り手にいい商品というのは手数料をたくさん取れるということでしょう。
逆に契約者にいい商品というのは、保険会社からすると儲からないんだそうです。
余談ですが、設計ミスで会社が儲からない、契約者には有利な商品が出てしまうこともあるそうです。
保険は一生つき合っていく商品なのですから、売る側にも契約者にも良いものを作って、正しい方法で販売してほしいものです。