非金融系FPそばこと不確実な日々

2019年2月にCFPを取得しました。FPとして知っておいた方が良さそうなことを色々と書いていきます。

新NISAってどうなんでしょうか?

NISAを2024年に制度変更するという話が上がっているようです。

新NISAは2階建てとなっており、リスクの低い投資信託などに投資する1階部分、従来通り株式等に投資できる2階部分という構成になります。

リスクの低い1階部分に投資した人だけが2階部分にも投資できるようになるようです。

1階部分には20万円、2階部分には102万円を年間の上限として投資することができ、現行のNISAよりも2万円、枠が大きくなっています。全体では5年間に渡り最大610万円まで非課税で運用できます。

運用益の非課税期間は現行と同じ5年間となっています。

こういった制度の改正の目的として「中長期の運用に適した低リスクの商品に優先して投資される仕組みにして、個人に資産形成を促す」「安定資産による長期的な運用を重視する」といったことがあげられています。


というニュースを受けて、私はビックリしてしまいました。意味が分からない。

まずリスクが低いということですが、これは大きな損をしにくいということでしょう。それには投資信託がオススメだ!という発想なのだと思います。

確かに株式を購入するより、投資信託を購入する方が大きな損は受けにくいかもしれません。でも投資信託を購入しても大きな損失を出す人もいれば、株式を購入してしっかり資産形成をする人もいるわけです。

例えば最初に投資信託をまとめて122万円分購入します。これが高値でその後は下がり続ける一方。こんなことはないとは言えません。

定位株を毎月約10万円分、分割して購入していったならば、もしかしたらほどよくバランスがとれた状態で122万円分の株式を購入できるかもしれません。

何が言いたいかというと、何がハイリスクだ、何がローリスクだという前に、どう購入するのか、どう管理していくのかが大事だと思うのです。

従来通りのNISAで全額投資信託を購入したっていいわけです。逆に新制度で20万円分の投資信託を購入した後、のこり102万円分のハイリスクな株式を買ったなら意味がなくなってしまいます。

次に、非課税期間が5年というところに引っかかります。5年で中長期的な安定運用が出来るでしょうか。

最大の122万円投資信託を購入、控えめに3%のリターンを5年間得ることが出来るとしましょう。

122万円×1.03×1.03×1.03×1.03×1.03≒141.43万円

となります。これを5年間投資できるので

141.43万円×5=707.15万円

まで資産を増やすことが出来る可能性があります。

確かに5年間で700万円を超える資産を作ることが出来るならこれは素晴らしいことかもしれません。では毎年122万円を5年間に渡って投資資金として回せる人が一体どのくらいいるのでしょう。またこれが5年間安定して利益を生み出してくれる保証はあるでしょうか。

もう一つ、これはNISAについて私が最も問題があるというか使いづらいポイントなのですが、損益通算が出来ないという点です。この点については今回の改正において特に触れられていないので従来通りなのでしょう。

5年間であれば結局損失で終わるということもあるでしょう。そのときに損失を受け入れなくてはなりません。投資において損失を受け入れることは時に必要ですが、別に利益を得ているところと損益通算をして税金が返ってくるか来ないかというのは大きな違いであると思います。

NISAには株式等の短期売買にて得た利益を非課税にすることが出来ることから税優遇との批判があるのだそうです。何となくですが、今回の改正だとこういった批判を逸らす玉虫色の改正と見えなくもありません。

税優遇との批判があるといいますが、基本誰でも同じく制度を使う権利があるわけで、批判するのもどうかと思ってしまうのですが。

さて現状として長期投資に向いているつみたてNISAという制度があることを考えると、資産形成という面からは新NISAを使うという選択肢はないのかな?と感じています。