宮城県で宿泊税を導入するということで紛糾しています。
県は宿泊客ひとり当たり300円の宿泊税を課すという案を議会に提出、2021年度導入を目指しているようです。
県が宿泊税導入を目指す背景には国から入る観光関連の交付金が2020年度で終了すると見込まれているからだそうです。
当然、観光業界からは強い反発が出ています。宮城県の観光地として温泉地が上げられます。温泉には既に消費税と入湯税が課されています。ここに宿泊税が課されるとなると三重課税となり、300円とはいえ心理的な抵抗があることでしょう。
個人的な意見として、宮城県は観光に関してもっと先にすべき事がたくさんあるのではないかとも思うのですが、ここでは宿泊税の是非について問うのはやめておきましょう。
行動経済学から見てみると
行動経済学に関する本で以前に読んだことのある話です。ぼんやりとした記憶ですが。
弁護士に法律相談を依頼するというイベントをやったそうです。実際の弁護依頼ではなくですね。これは社会実験の類のようです。
2つのケースで実験をし、弁護士が依頼を受けるかどうかということを調べるものでした。
1つは、2000円払うので法律相談のイベントに参加してくださいというものです。
もう1つは無料で法律相談のイベントに参加してくださいというものです。
多くの弁護士が参加してくれたのはどちらか?ということなのですが、答えを言うと後者でした。
お金を払うというと、弁護士としての報酬と貰う金額を比較してしまい、結果これでは受けられないよということで断ってしまうようです。
無償でとなると、そこには有償の場合とは異なる印象というか感情が入るのでしょう。例えば社会貢献であるとか、でしょうか。有償だとそこにビジネス的な感覚が出てしまうのでしょうね。
これは市場規範と社会規範という話題になってきます。同じ事をするなら2000円でも貰った方が良さそうなものなんですが、無償であることの方がモチベーションが上がるという感覚的には分かるのだけど、あまり論理的ではない事象なのです。
この話は日本の話ではないので2000円とか適当なところはありますが、概ねこんな話だったかな?というくらいで許してください。
300円の宿泊税です。300円払うというのは正直大した負担ではない、と分かっているのです。分かっているのですが何かイヤなのです。
それは税金だから、強制的に払わされるからなのでしょう。
これが観光支援のために募金をお願いします、だったら、300円くらいの募金ならいいかな?と心理的負担は随分下がることでしょう。
先ほどの話に無理やりこじつけるのですが、自発的なのか受け身なのかで同じ300円でも感じ方が全く変わってしまうのです。
まあ県が募金を財源として期待するわけにはいかないですし、コンビニの募金箱にお金がたんまり入っている光景を見たことがないです。現実的な話ではないのは分かってますが、感情というのは人間の行動に大きく影響を及ぼすのは間違いないと思います。
300円の宿泊税が観光客の足を遠ざける一因になるかと言われると何とも言えませんが、気持ち良く払うとは思えないですね。
県は丁寧な説明が必要だと思います。