非金融系FPそばこと不確実な日々

2019年2月にCFPを取得しました。FPとして知っておいた方が良さそうなことを色々と書いていきます。

利用可能性ヒューリスティックとコロナウイルス報道

ここ最近の報道と言えば、多くの時間が新型コロナウイルスに裂かれています。

治療法が未だ見えていない、日々感染者が増えていく、とにかくよく分からないことであるだけに不安は広がる一方です。

今日、7日時点での報道では、中国の感染者は計3万1161人、死者は計636人とのことです。日本を含め世界28ヶ国と地域で感染者が確認されており、広がりも大きくなっています。

日本では横浜に停泊中のクルーズ船を含め計86人が感染しているようです。

これらの数字は日々増えていっており、これからも更に増えることは予想するに難くないわけです。

さて、もちろん必要ではあるのでしょうが、過熱報道気味では?とも思ってしまう新型コロナウイルスの陰でと言ってしまってもいいのでしょうか、アメリカではインフルエンザの感染が大きくなっているとのことです。

今冬のシーズンにおいてアメリカでのインフルエンザの患者数は1900万人、死者数が1万人を超えているのだそうです。

単純に感染者や死者数で判断していい問題ではないと思うのですが、多くの人が亡くなっているのだということを考えたなら、もっと大きく取り扱ってもいい問題のように思えます。

日本でもインフルエンザが収束したわけではないのですが、インフルエンザの話はほとんど聞かなくなりました。ドラッグストアにマスクが売っておらず、ネットでは高額で転売されているなんて問題も出ています。この辺の倫理的、道徳的な問題はさておいて、多くの人がマスクを求めるのは新型ウイルスゆえであることは間違いないでしょう。

厚生労働省のサイトにインフルエンザに関するQ&Aが掲載されています。

www.mhlw.go.jp

例年、年間1000万人近い人がインフルエンザに感染しており、年によりばらつきはあるのでしょうが、200から2000人くらいの人が亡くなっているようです。

またインフルエンザ関連死となると年間1万人ほど、世界では25から50万人の人が亡くなっているそうです。

この数字を知ってしまうと恐ろしくて外も歩けないよ、という気分になってしまいます。ただわざわざ調べないと入ってこない数字ですし、まあ知らない方が幸せなのかもしれません。

なぜこういった情報は報道されず、新型コロナウイルスは大きく報道されるのかは分かりませんが、未知のウイルスで対処法が確立されていないわけで、過剰な報道も意味があるのでしょう。

利用可能性ヒューリスティック」という言葉があります。

ヒューリスティックとは経験則くらいに考えても良いでしょうか。自分では論理的に考えているつもりなのに、過去の経験や直感に頼って判断してしまうことです。

自分の経験、特に直近の経験は頭に浮かびやすいものです。また普段からよく使う知識も頭に浮かびやすいでしょう。そういった簡単に想起される情報を優先して結論を出してしまうようなことを「利用可能性ヒューリスティック」といいます。

これだけ毎日新型コロナウイルスに関する報道を見ていると、コロナウイルスは危険、感染する、マスクが必要、みたいな感じになるでしょう。一方、めっきり話題にあがらないインフルエンザは実はより多くの死者を出しているのに頭に浮かばないなんてことになってしまっています。これも利用可能性ヒューリスティックの一例と言っていいのではないでしょうか。

利用可能性ヒューリスティックでよく言われる例があります。

私もそうなのですが、飛行機が落ちたら怖いから陸路で行くといった話です。

飛行機事故は大惨事に繋がります。報道を見るとショッキングな出来事に言葉を失います。特に事故があった後などは恐ろしくて飛行機に乗る気にはなりません。

そこで車を運転して移動すると電車を使って移動するという選択をする人が増えるのです。

あまりいい例ではありませんが、有名な話なので取り上げます。9.11の後、アメリカでは飛行機に乗る人が大幅に減少したそうです。そういった人は車で移動したのですが、その結果例年よりも自動車事故により亡くなった人が増えてしまったのだそうです。

実は飛行機の事故というのは起きる確率が非常に低く、死者の数となると自動車事故や電車の事故とは比較にならないのです。それでも事故が起きたときの衝撃が頭に残っていて、確率的には危険な陸路を選択してしまうのです。

私自身、この話は以前から知ってはいるのです。それでも飛行機が怖くて出来れば乗りたくないですからね。利用可能性ヒューリスティックの虜です。

ちなみに車の運転も怖いので出来ればしたくない方です。


医学的な知識のない人間であるだけに、新型ウイルスについては何とも言えない不安に駆られます。加熱する報道をどこまで信じていいのかよく分からないです。ネット上で出回る情報もどこまで正しいのか分かりません。

仕方ないので手荒い、うがい、マスクをする、用もないのに人混みに行かないなどで予防するくらいしかないのでしょう。