新型コロナウイルスの問題が表面化して以降、気が付くとガソリン代が安くなっているなあと感じるようになってきていました。
8日の資源エネルギー庁の発表によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格は、全国平均で133円70銭、11週連続で値下がりしているのだそうです。
ひとつに新型コロナウイルスによる経済の減速があります。またサウジアラビアなど主要産油国が増産をしたことで原油価格が下落したことも影響しています。
単純に思いつくところだと、不要不急の外出をしないようにしましょうということでガソリンの消費が落ちる、経済が落ちて工場が停止となり石油の消費量が落ちる、でも原油は増産される。結果として市場に原油がダブつくなんて構造が想像されます。原油がダブつくという表現もどうかと思いますが(笑)。
原油価格の下落が株価暴落の一因となったのですが、なぜそのようなことが起きたのでしょう。何しろガソリン価格が下がれば我々にとっては有り難いわけです。
ひとつの理由として原油関連企業の経営に大きく影響が出ることでしょう。そもそも新型コロナウイルスの影響もあり需要が落ちている中、価格が下がることで売上が落ちるでしょう。また抱えている在庫の評価額が下がるでしょうから企業価値も低下します。
事実、JXTGホールディングスは当初2020年3月期に2800億円の営業益を見込んでいたものが、2100億円の営業赤字になると発表しています。
こういったことが大きな投資マネーを株式市場から引き上げる要因になることは容易に想像できます。大きな売りが出れば、株価も大きく下がってしまうことでしょう。
さてそんな中、石油輸出国機構(OPEC)と、OPECに加盟しない産油国が9日、日量1000万バレルの減産で合意しました。日量1000万バレルの減産と言われても全くピンと来ないのですが、なんでも世界供給量の10%に相当するのだそうです。今後、この枠組みにいないアメリカなどにも協力を求め、更なる減産を進めようとしているようです。
ガソリン代が安くなるのは歓迎ですが、それが経済の混乱を招くのは勘弁願いたいところです。
ところで、新型コロナウイルスの影響により世界中で人の移動が減り、ガソリンの消費量も減少しています。まあそればかりではないのでしょう。人間の経済活動が減っているわけです。その結果としてなのか、二酸化炭素の排出量が減少しているのだそうです。人間にとって試練とも言える事態が、環境にとっては良い方向に進んでいるというのは、なんとも皮肉なことです。