9日の閣議後に高市総務相が、マイナンバーと預貯金口座の紐付けについて、国民1人につき1口座の登録義務化を目指すという考えを示しました。
これが実現すれば、現在多くの自治体で混乱している10万円の給付金の振り込みなどの処理も随分と簡単なものとなるでしょう。実際、災害等の給付金の迅速な支給というのが名目のようでして、来年の通常国会に関連法改正案として提出を目指しているとのことです。
マイナンバーは2016年から使用が開始されています。当時、私もシステムのマイナンバー対応で随分大変な思いをしました。とにかく取り扱いが厳重で、万が一漏洩することがあれば大変なことになるということで苦労しましたし、お客さんもマイナンバーの取り扱いが大変だと随分こぼしていたものです。
制度が導入されてから4年以上が経過しましたが、我々の生活にマイナンバーが浸透したなあという感じは全くしていません。
何でも「公平・公正な社会の実現」「行政の効率化」「国民の利便性の向上」ということがマイナンバーの利用には掲げられているようですが、実際のところどうなんでしょう。最近の混乱ぶりを見ると・・・。
多くの人のマイナンバーに対する抵抗感として、国に資産を把握されたくはない、個人情報は守られるのか、といった不安や懸念が原因として考えられるでしょうか。私の周りでもそういう方は多いですね。
国に資産を把握されるのはイヤですが、それほど把握されて困るほど持ってもいなかったりはしていますが。マイナンバーが導入されたときに証券会社はマイナンバーの提出を求めてきましたが、銀行はそれがなかったんですね。私は銀行口座にマイナンバーが紐付けられるものと思っていたので、未だにそれがないことを意外に思っていました。
どうやら現行の制度では、マイナンバーの利用は社会保障、税、災害の3分野のみに限られているのだそうです。となると証券会社では売買による税の徴収がありますから分からないではないですが、銀行口座に対してマイナンバーを求める強い理由はないかもしれませんね。まあ微々たる利子とか、あるいは急に口座残高が増えたときに何らかの所得があったのではと見ることは出来るかもしれませんが。
まあ多くの人の抵抗感があるから、1人1口座という条件が付いたのでしょう。資産を国に把握されたくないなら、マイナンバーに紐付けた口座にはお金を入れておかなければいいですからね。
そんな話があったのですが、1人1口座をマイナンバーと紐付けるという話は、義務化ではなく希望者のみとすると方針を見直したそうです。やはり国民の抵抗感に配慮したのでしょうか。これでは非常時の給付金の振り込み業務の迅速化には繋がらないでしょうね。
私個人としては最近の給付金手続きのシステムが自治体の業務に混乱をもたらしているのを見ると、資産を把握されるということより、情報が正しく保護されているのか、第三者にアクセスされていないか、そちらの方が心配ですね。