混乱しがちが言葉なのですが、「所得」と「収入」という言葉があります。どちらも同じでは?と思われていたり、混同して使われていたりします。
通常の会話では大した問題ではないのですが、税計算においては随分と話が変わってきます。
収入とは
例えば時給1000円で月に100時間働くと10万円になります。1年間このペースで働くと120万円となります。この金額は収入となります。
所得とは
収入から必要経費を引いた額が所得となります。
サラリーマンだと必要経費なんてないと言うでしょう。ですが給与には給与控除というものがあります。まあ言ってみれば必要経費みたいなものでしょう。
給与の場合、得た賃金により控除額が変わってくるのですが、先ほどの年に120万円稼いだ人の場合、令和2年現在だと55万円となります。すると所得は65万円となります。ちなみに給与から得た所得は給与所得となります。
給料をもらう場合とは別の収入があります。これらは受け取る収入により控除額やその計算方法は変わってきます。
税計算に使われるのは「所得」に対してとなります。
※実際には所得から更に様々な控除がされます。
馬券の儲けはどうなるのか?
以前、競馬における外れ馬券は経費となるのかということが問題になったことがあります。
競馬をやったことがある人なら分かると思いますが、馬券は当たったり外れたりします。最終的にプラスになれば嬉しいなというようなものです。
実際、100%を超えるというのは非常に難しく、確率的なことをいうと競馬を続けていくと回収率は85%に集束していくのです。
当たり馬券の払戻金に対して税金がかかるとなるとトータルでは負けていても税金を払わなくてはなりません。
競馬の払戻金は「一時所得」というものに該当し、50万円までは控除されるので利益が50万円までであれば税金がかかりません。ですので普通に遊ぶ分には税金の心配は不要でしょう。
※競馬の当たり馬券購入費は必要経費と認められています。
ここで掛け金が大きく当たった金額が極めて大きいとどうなるでしょう。払戻金にだけ税金がかかるとなるとトータルで負けても大きい額の税金がかかることになります。そこで外れ馬券も必要経費に含めるべきだという裁判が行われました。
最終的に最高裁までいき、外れ馬券が必要経費と認められたのでした。
ちなみに裁判を起こした方は6年間で72億円の馬券を購入、5億7000万円の収入を得ていました。これに対して課税をするべきだと約1億9000万円の追徴課税を求められていたそうです。最高裁の判決で外れ馬券が必要経費と認められたことで課税処分が取り消されたのでした。つまりトータルではマイナスであったということだったんですね。
ということで、話は随分横に逸れましたが、「収入」と「所得」は別物であるという話でした。