非金融系FPそばこと不確実な日々

2019年2月にCFPを取得しました。FPとして知っておいた方が良さそうなことを色々と書いていきます。

所得税扶養と103万円の壁との関係とは

所得税扶養とは何か?

扶養家族がいると、その分だけ所得税が安くなるということをご存じの方は多いと思います。

お子さんだったり、配偶者だったり、あるいは親を扶養にしているという人もいると思います。

ところで扶養される家族、被扶養者などと言われますが、それはどういう人が対象になるのでしょう?

「生計を一にする」家族なんていう言い方をします。

国税庁によると「生計を一にする」とは「日常の生活の資を共にすること」とあります。

具体的な要件を言えば、6等親内の血族と3等親内の姻族であること、原則同居していること、などが挙げられます。

例外はあります。例えば一人暮らしをしている学生の子供の生活費を負担しているなら、同居していなくても「生計を一にする」家族ということで、扶養の対象になります。

例えば、お子さんのように労働による収入を得ていない人の場合、親なりが金銭面での面倒を見なくてはいけません。

そこでそういう被扶養者がいる場合に、税金の一部が控除される、これが扶養控除ということになります。
※正確に言うと、所得金額から一定額が控除され、所得税が決定することになります。

103万円の壁とは何か?

お子さんでもアルバイトなどで収入を得ている人はいます。人によってはかなりの収入を得ている人もいるでしょう。

それでも扶養家族として扱えるのでしょうか。

アルバイトやパートをしている方は、年間の収入が103万円を超えないように気を付けなさいと言われることがあると思います。

実はこの103万円が大事で、収入が103万円以下だと扶養家族として認められます。逆に言うと103万円を超えてしまうと扶養家族として認められません。

学生さんだと被扶養者であることが多いと思います。そこで103万円を超えないように働きなさいと言われるのです。

親の扶養に入っている学生さんの場合、年間収入が103万円を超えてしまうと、親の扶養から外れます。それは親からすると扶養者が減ることになり、所得税が増え、手取りが減ることを意味します。

基礎控除と給与所得控除

では103万円という数字はどこから出てきているのでしょう。

私たちが払う所得税は収入から、様々な控除がされて決定された金額に対して計算されます。

その中に基礎控除というものがあります。これは所得控除のうちのひとつで、我々納税者は必ず控除されるものです。

この基礎控除額が38万円でした。

サラリーマンやバイト、パートなどの雇用されている人はお給料を貰っています。このお給料を得ている人達は給与所得を得ているのですが、この給与所得は収入から給与所得控除を引いた金額となっています。

この給与所得控除は少なくとも65万円を控除されていました。

お給料を得ている人は基礎控除38万円+給与所得控除65万円=103万円が少なくとも控除されることになります。

もし収入が103万円を超えていない場合、所得は0円となります。これは所得税が0円であることを意味します。

つまり所得税を払っていない人は扶養の対象となると言ってもよいでしょう。

収入と所得という用語は難しいところですね。

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ところで、ちょっと詳しい方だと知っていると思いますが、令和2年から基礎控除額が48万円になりました。

その代わり、給与所得控除額の最小額は55万円となりました。

令和2年分から控除額は変わったのですが、103万円の壁は変わらず残っています。

配偶者特別控除

ちなみに配偶者、つまり夫や妻のことですが、この場合は扱いが異なります。

被扶養者の収入が103万円を超えていても、配偶者特別控除という控除を受けることが出来ます。

これは依然からある制度でしたが、ここ数年で変わってきています。

そこにはもっと多くの人が働いて税金を納めてもらいたいという面もあるでしょうし、社会における働き方が変わっている面もあるでしょう。

103万円の壁があるから、あまり働かないようにするというのは、本人にとっても社会にとっても、ネガティブな面が多いように思えますね。

今後も制度は変わってくるだろうなと思っています。

130万円の壁

103万円の壁というのは所得税上の扶養の話でした。

実は130万円の壁というものもあります。これは社会保険上の扶養対象となるかどうかのラインです。

収入が130万円を超えてしまうと、年金や健康保険といった社会保険の扶養から外れます。

社会保険料を負担するということになると、勤務先にとっても自分にとっても大きな負担となります。

103万円の壁は扶養者にとって大事なポイントだと思います。一方、130万円の壁は被扶養者やその勤務先にとって大事なポイントになってきます。

そこを超えるなら、いっそもっと働いて欲しいとなる収入のラインとなるでしょう。