非金融系FPそばこと不確実な日々

2019年2月にCFPを取得しました。FPとして知っておいた方が良さそうなことを色々と書いていきます。

名目為替レートと実質実行為替レート

急速に円安に動いている米ドル円相場は、28日に125円を越える場面がありました。

3月初めは115円前後で推移していたわけで、1ヶ月に満たない間に10円も円安方向に動いたのです。

125円を越えるってあまり記憶にないなと思っていたのですが、2015年8月以来とのこと、6年以上前に遡ることになります。

円安の理由を探すと言っても後付けでしかないとは思うのですが、米国の金利上昇、資源高による日本の貿易赤字ウクライナ危機などといったところなのでしょうか。

28日の125円への動きについては、日銀による同日2回の指値オペが原因ではないかとされています。

ところで急速な円安の流れの中で「実質実効為替レート」という言葉を耳にします。それに対して「名目為替レート」という言葉もあります。これは一体何なのでしょう。

名目為替レート

名目為替レートとは通貨間のお金の交換比率のことを言います。

例えば、海外旅行に行くので円をドルに替えるときに、100ドルが欲しいので12,000円と交換するわけです。手数料を考えなければ、これは1ドル120円ということです。

ドル円が125円になった、といったニュースや新聞で取り上げられるレートは名目為替レートのことです。

名目為替レートは2国間の通貨の交換比率です。米ドル円であれば、アメリカと日本の間の話です。

例えば、円高に動けば日本が強いのかな?円安に動けば日本は弱いのかな?と思うところですが、これはアメリカに対してということです。ユーロ圏が加わると日本も米国も弱かったなんてこともあるわけです。

実質実行為替レート

2国間だけではない、もっと広範なものがあります。それが実効為替レートです。

例えば、日本の実効為替レートであれば、円と米ドル、円とポンド、円とユーロ・・・といった感じで円とそれ以外の通貨との2通貨間の為替レートを求め、これを貿易取引量などで重み付けして求めたレートとなります。

これにより円の対外的な競争力を見ることが出来るというわけです。

次に実質為替レートについて考えてみましょう。

これは2国間の物価上昇率を考慮した為替レートのことです。

例えば、米国にも100均ショップのような1ドルショップがあるのだそうです。商品を1つ買うのに1ドルかかるわけです。

1ドルが120円であった場合、私たちは120円出せばモノを1つ買うことができます。

昨年米国の1ドルショップ「ダラーツリー」が標準価格を1.25ドルに値上げすることになったそうです。私たちがこのお店でモノを買うためには150円(120円×1.25ドル)が必要になります。

つまりこのケースでは米ドルが150円に円安となったようなものです。

このように物価上昇率を為替レートに加味することで、名目為替レートより通貨間の競争力が見えてきます。

実質実効為替レートとは、実効為替レートに物価上昇率を加味したもので、より通貨の競争力が見えてきます。

さて実質実効為替レートによると、円は過去と比較して低い位置にあります。名目為替レートによる円安以上に、円が弱いとも見ることが出来る状況にあるかもしれません。

輸出入に頼る日本にとって、円安であったり円高であることが一概に良い/悪いとも言えないところではあります。しかし資源高、円安となると、どうしても価格に転嫁しなくてはいけない局面もあるのではないでしょうか。私たち庶民にとってはあまり良い状況ではないのかもしれません。