非金融系FPそばこと不確実な日々

2019年2月にCFPを取得しました。FPとして知っておいた方が良さそうなことを色々と書いていきます。

テーパリングとテーパー・タントラム

最近、よく聞くようになった単語「テーパリング」とは何でしょうか?近々テーパリングが開始されるよなんて聞いて、まあ関係ないしいいかと流している人も多いことでしょう。

テーパリングとは「量的緩和策による金融資産購入額を徐々に減らしていくこと」を指します。

こんな調子ですから流したくなってしまうわけです。短い文章ですけど、訳が分からないですね。

というわけで、テーパリングの前に量的緩和策について見てみましょう。

量的緩和策とは

世の景気が悪くなってくると、中央銀行が景気好転のために金融政策を実施します。中央銀行とは日銀やFRBなどですね。

景気回復のためには投資や消費をしてもらいたい、そのために市場にお金が出回るように促します。

一般的には政策金利を下げます。金利が下がればお金を借りやすくなります。お金を借りやすくなれば、企業は工場やら機械やら研究やらに投資をして企業活動が活発になるでしょう。個人ならば家を買うなどの消費を促すことになるでしょう。

金利が下がれば私達は手持ち以上のお金を使いやすくなりますから、世の中にお金が流れて景気が良くなる、というわけです。

ところで日本のように金利が低く0%近くだと金利の引き下げも難しくなってきます。そうなるとマイナス金利量的緩和という策が取られます。

量的緩和とは国債などの金融資産を中央銀行が買い入れることで市場にお金を供給させることです。

例えば、銀行が持っている国債を日銀が大量に買うことで、銀行にはお金が入ります。その分を貸し出しに回せるというわけです。

米国においては、新型コロナウイルスによる経済や市場のダメージを止めるために当初、金利の引き下げをしていましたが、2020年3月に大規模な量的緩和も実施したのでした。

テーパリングとは

そもそもテーパリングは「tapering」という英語です。「taper」は先細るという意味をもっています。

国債の買い入れといった量的緩和策が功を奏して景気が良くなってきたら、その金融政策を正常な状態にするために、先細らせる、つまり徐々に減らしていく、というのがテーパリングです。

テーパリングがすなわち金利引き上げと直結しないという話が出ます。これは量的緩和策を抑えていくのであって、金利引き上げとは別の話ですよということを強くアピールしているようです。

景気が良くなればいずれ金利も上がっていくでしょう。しかし現段階で量的緩和縮小に加えて、金利上昇なんて話になればインパクトが大きいでしょうから発言に慎重になっているのだと思います。

発言に慎重になるのにはテーパー・タントラムを心配している面も大きいでしょう。

*テーパー・タントラムとは
2013年5月に当時FRBの議長だったバーナンキ氏がテーパリングの可能性について言及したところ市場が大きく反応しました。

日本では2013年5月23日の日経平均が1143円安となるなど大きな下落を見せたのです。バーナンキ・ショックとも言われています。

かんしゃくを意味する「Temper tantrum」とテーパリング「Tapering」から生まれた造語「Taper tantrum」がテーパー・タントラムというわけです。

パウエル議長は、テーパー・タントラムの再現とならないように発言に慎重になっているものと見られます。