3日、米労働省が2021年11月の雇用統計を発表しました。
予想 | 結果 | |
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非農業部門雇用者数変化 | 55.0万人 | 21.0万人 |
失業率 | 4.5% | 4.2% |
景気動向に敏感に反応する非農業部門の就業者数は21.0万人増と予想を下回りました。一方、失業率は4.2%とこちらは予想を上回りました。
雇用は回復傾向が続いているのですが、11月の雇用統計には今まさに世間を騒がせている新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」が反映されていません。欧米では感染者が増えてきていたものの、様々なイベントや飲食店の利用も広がってきており、経済は再開に向けた機運が高まっていた、そんな状況下での結果だったのではないかと思います。
直近の大きな問題はオミクロン株の影響となるでしょう。海外では感染拡大が広がっていて、その影響もありこの1週間はリスクオフの様相でした。株価は下がり、為替は円高方向に大きく動きました。
オミクロン株については、まだ分からないことばかりで、どれほどの影響が出るのか極めて不透明な状況でしょう。過度に心配する必要はないのではないかと株価を戻す場面もあったようですが、不安の方が大きいことでしょう。
感染リスクがある中で賃金の低い仕事に就こうとする人は少ないわけです。そんな訳で意外と雇用が戻ってこない、そのため賃金を上げざるを得ないというのがここ数ヶ月続いています。
オミクロン株のリスクが高いとなってくると、就業者が増えない、あるいは減ることは十分にあるでしょう。また対面授業が出来ないなんて状況に戻れば、仕事に出ることが出来ないという問題も出てくることでしょう。そうなると人手不足は更に深刻な問題となってくると思われます。
経済再開のためには人手が必要、でも戻ってこない、となると賃金を上げないといけないわけです。そうすると価格を上げないと成り立ちません。これは物価を押し上げて、昨今続くインフレを更に進めてしまうかもしれません。
先日、FRBのパウエル議長はインフレ懸念から、テーパリングを加速する旨を次回FOMCですると言っています。オミクロン株による不安が広がる中での、テーパリングの勢いを早めるという話を聞いた時は、私の中で話が繋がらなくて何故なんだろうという感じがしました。しかし状況が見えてくると何とも悪循環というか、非常に舵取りの難しい状況だなと感じました。
12月にはオミクロン株の影響も見えてくるかもしれません。日本国内では新型コロナウイルスが随分落ち着いてきていましたが、年末に向けてまた先が見えない状況が続くようです。