日経電子版の記事によると主に大企業で働く会社員の介護保険料が4月から大幅に上がるということです。年に1万円超の負担増になる人も多く出るということです。
介護保険とは
ここでは会社員に限って話を進めますが、会社員は健康保険組合や協会けんぽといった健保組合に加入しています。そして給与や賞与から収入に応じて健康保険を徴収されています。
そして40歳になると健康保険に加えて介護保険を徴収されるようになります。これが65歳まで続きます。
ここでは詳しい話は省きますが、各人の所得に応じた額に保険料率を乗じた金額が徴収されることになります。
総報酬割とは
実は2017年度から段階的に総報酬割という制度が介護保険に導入されています。
介護保険料は各保険者(健保組合)が取りまとめて介護納付金として社会保険診療報酬支払基金に納めています。
この納付金は加入者数に応じて金額が決まっていて、つまり加入者数が同じ保険者であれば納付金も同じになります。
極端な例ですが
保険者Aと保険者Bはどちらも加入者10人です。そのとき、どちらも介護納付金は1万円です。
実は保険者Aの加入者10人の収入は1億円です。一方保険者Bの加入者10人の収入は100万円です。
となると明らかに保険者Aの加入者に対して保険者Bの加入者の介護保険に対する負担は相対的に重くなります。保険者Aは0.01%の負担であるのに対し、保険者Bは1%の負担になります。
ではどちらも負担を1%になるようにしましょうとするなら、保険者Bはそのまま、保険者Aは介護納付金を100万円にすればいいことになります。
このように各健保組合ごとに人数に応じてではなく、総報酬に応じて介護納付金を負担させることを「総報酬割」といいます。
例が極端で現実的な数字ではないことは無視してください。
実際には総報酬割が導入されることで介護保険料が安くなる組合もあれば高くなる組合もあるようです。
現在は緩和措置が取られていて、2019年3月までは全体の2分の1が、2020年3月までは全体の4分の3が総報酬割となっています。そして2020年4月からは全面的に導入されることになります。
ゆえに所得の高い人が多い大企業に勤めている人は介護保険料が高くなるということなのです。
高齢化社会であるが故に介護保険負担増となってきています。しかし私も祖父母がお世話になったので良く分かるのですが、介護保険は本当に有り難い制度です。関わって下さった方々も親切で親身で本当に救われました。
ですから介護保険の重要性は強く感じています。それだけに文句は言えない部分もあるのですが、一方で自分の生活もあり負担が増える一方というのも辛いところです。
社会保険制度の改正はこれからもあるようですが、現役世代も高齢者世代も幸せである制度の改正を期待するところです。