10月1日、東京証券取引所の喘鳴柄が売買停止となりました。
これはシステム障害によるもので終日売買停止という事態になりました。
本日、新規上場となっていた企業もあったそうです。日銀短観が発表され、その結果が市場に影響を及ぼすこともあったでしょう。
とにかく取引が出来なくなってしまったのでした。1日の日経平均は30日の終値を適用するということで、2万3185円12銭となっています。
明日には再開するとのことですが、こういった事態を受けてどのような値動きをするのか注目されることでしょう。
何が起きたのか?
2010年に導入された「アローヘッド」という高速取引システムの機器に故障が発生したのが原因とのことです。
このアローヘッドというシステムの中に「相場報道システム」という株価などの情報を配信するものがあるそうで、これが故障したとのことです。
この相場報道システムは2012年2月にも機器故障により取引停止になったことがあります。
また2018年にもシステム障害が発生しており、このときは高速取引業者からの大量に送られたデータが原因でした。
今回の問題で重いのは、機器が故障してしまったことではなく、バックアップに切り替えが出来なかった点にあると思います。
システムで不測の事態が起こることは常に想定しておかなくてはなりません。それに対応するためにバックアップが必要であることは間違いありません。例えば災害が起きたとしてもシステムが止まらないように、バックアップを異なるエリアに持っておく必要もあるでしょう。
バックアップに切り替えがうまくいかなかったら次の手もなくてはならなかったでしょう。
なにしろ世界中の人が日々取引する場なのです。これが止まってしまうということは日本市場の信頼失墜、システムへの信頼失墜となることは否めません。
東証が、あるいはシステムを提供した富士通がどう対応するのか、大変に重要なポイントにあります。
また日本市場がほぼ東証という状況も良くないという議論も出てくることでしょう。日本市場の在り方も再検討が求められるのではないでしょうか。
とは言ったものの
それらしい一般論を語ってみました。ニュースを見ても厳しい意見が多いです。その通りなのでしょう。
それでも全然規模も業種も違うものの同じシステム屋の立場から、このニュースが速報で入った時にはいたたまれない気持ちになりました。
こんなに巨大で責任の重いシステムです。そしてキチンと動いて当たり前という世間の認識です。
過去に色々なことがあったことでしょう。それでもここ10年で大きいトラブルは数回のことなのです。むしろ普段キチンと動いていることを褒めてあげて欲しいものです。
それでも誰も褒めてくれません。そして稀に起こる不具合に鬼の首でも取ったように厳しい意見を投げかけてくるのです。
システムなんて正常に動いて当たり前というのが一般的な世間のイメージでしょう。でもそう簡単なものではありません。
特に東証のシステムなんて、世界中からとんでもない数のアクセスがあるのです。何が起こるか想定する方が難しいでしょう。それに完璧に対処するなんて不可能です。
私が考えるシステムの在り方は、不測の事態は起こる、不具合は起きる、その上でどう対処していくかが大事であると思います。
バックアップの用意はされていた、しかしそれが機能しなかった。詳細は明らかではないのでしょうが、ここが大きな問題だったのかなと思います。
バックアップが機能すれば、遅延はあったかもしれない、多少データが消えちゃうかもしれない、でも取引は再開出来たかもしれませんね。
世間は自分の仕事に甘い割に、他人の仕事には厳しいものです。ただそれだけの重い責務である(絶対にやりたくない)わけです。
今後何か起きたときに、いかに被害を最小に収めるかという対策は絶対に必要です。
関係する皆さまは、それこそ生きた心地がしない心境でしょう。大変だとは思いますが、何とかこの事態を乗り切ってもらいたいです。