非金融系FPそばこと不確実な日々

2019年2月にCFPを取得しました。FPとして知っておいた方が良さそうなことを色々と書いていきます。

コロナ禍で注目されるベーシックインカムとは?

最近「ベーシックインカム」という用語が聞かれます。

これは世界中で注目されている用語なのですが、日本では小泉政権下で経済財政相を務めた竹中平蔵氏の提言が話題になったようです。

ベーシックインカムとは?

そもそも「ベーシックインカム」とは何でしょうか?

これは「全国民に一定の金額を支給し、必要最低限の生活を保障しましょう」という考え方です。

こう聞くと生活保護制度が頭に浮かぶかもしれません。生活保護は様々な理由で生活に困窮している人を支援する福祉制度です。

ベーシックインカムはこれとは異なり、あらゆる人に定期的に一定の金額を支給しようというものです。

竹中氏はテレビ番組の中で、毎月7万円のベーシックインカムを支給することを提言したそうです。ここでその提言についてどうこういうものではないのですが、反響が大きかったようです。

ヨーロッパではベーシックインカムに関する議論は以前からあったようです。しかし制度として導入した国はいまだないようです。

それがコロナ禍において、失業者が増えたこと、生活困窮者が増えたこともあり、議論が再燃しているというのです。

ベーシックインカムのいいところ、わるいところ

ベーシックインカムが度々議論される、しかし導入した国はない、これはやはりメリットとデメリットがあり、それを天秤にかけた時に実施するという決断に至らないのでしょう。

メリット

大きなメリットとしては生活困窮者を守ることが出来る点にあるでしょう。

貧富の差が大きくなっていると言われて久しくなっています。

務め先の違い、生まれた時期などはまず思いつくところでしょう。

いい会社に勤めれば同じ仕事をしていても給料が高いなんてよくある話です。

また就職時期が就職氷河期であったとか、その逆であったとか。自分の努力でどうにもできないことが要因で収入が少ないというのは残念なことに多々あることです。

また1人親であることが貧困につながっているという話もよく耳にします。

日々の暮らしもままならないという人がいる一方で、年収何億円、高級車を乗り回し、高級マンションで優雅な暮らしをしているという人もいるわけです。

ここまで極端な貧富の差をどうにか出来る話ではないです。それでも日々の暮らしに困っているという人がいない社会を作れるというのは素晴らしいことと思います。

またベーシックインカムでは全ての人にお金が支給される、つまり生まれたばかりの赤ちゃんでも受給出来るわけです。

これは経済的理由から子どもを諦める、という理由を抑えることになりそうです。少子化問題の解決にも繋がることでしょう。

世の中にはブラック企業というものがあります。心を病んでしまうようなパワハラが横行している職場があります。

そんなところ辞めてしまえばいいじゃないか、と他人は思うわけですが、当事者は辞めることが出来ない。それは仕事を辞めたくないというよりは生活の糧を失ってしまうという恐怖があるからでしょう。

同様に会社に言いたいことがあっても言えない、下手なことを言ったら職を失うのではないか、という場面に遭遇することもあるでしょう。

最低限の生活が保障されているなら、仕事を辞めても取り敢えず困りません。嫌な仕事なら辞めればいいでしょう。言いたいことを言うことも出来るでしょう。

そうなってくると酷い会社、酷い職場、酷い上司は淘汰されていくことでしょう。

どうやらベーシックインカムを導入すれば、いいことが沢山ありそうです。

デメリット

それなのにベーシックインカムを導入している国がないのは何故なのでしょう。

まあこれは誰が考えても分かりそうな話なのですが。

やはり大きいのは労働意欲を失う人が出てくるということでしょう。

働いても働かなくても生活出来る、ならば働かないという選択をする人は当然出てくることでしょう。

頑張っても報われない、となれば頑張っている人の意欲も削がれるかもしれません。

以前、ある被災地で災害給付金を受けた人達が働かないで遊んでばかりいたなんて問題がありました。

生活保護を受けている人が、一生懸命働いている人より収入が多いという問題もありました。

そうなると真面目に働いている人がバカをみる、というわけで労働意欲を失いますね。

そして非常に大きい問題として財源をどこに求めるかという点が議論されることになるでしょう。

当然、税金なり社会保険料なりで賄うことになるのでしょう。現在、年金も厳しい状況にあると言われているのに、全ての人に必要最低限のお金を支給するとなると、どれだけのお金が必要になるのでしょう。

これを働いている人が負担しなくてはならない。しかし労働意欲を失い働かない人がいる、そうなると働いている人は不公平感を感じますし、負担も大きくなります。

働いたら損をする社会で誰が働くのでしょう。

と言うわけで、メリットとデメリットがある、そのデメリットによる副作用が大き過ぎて、導入はもとより議論にも至らないのでしょう。

竹中氏の月7万円というベーシックインカムでは、今の日本で生活するには中々に厳しいでしょう。

しかし労働による収入にプラスして、月に7万円となると悪くないなあと思います。いや、むしろありがたい。

さじ加減次第ではベーシックインカムというのも悪くないのかもしれません。ただ、そのさじ加減が難しいのだと思います。

コロナ禍において、本人に何の落ち度もないのに生活に困っている人がいる、こういう人を国が守る制度は必要であると強く思います。

今もコロナは継続している問題であり、また今後も同様のことが起きるかもしれません。如何にして、そこにいる人々が安心して生活出来る制度を作るか、私たちは大きな問題に直面してしまっているわけです。